ENHYPEN[1] の曲「Blessed–Cursed」について、楽曲構成やタイトル・歌詞・MV[2]の意味/解釈、ダンスの見どころや関連映像など、曲にまつわる様々な情報を整理しまとめておきます。
この記事をご覧になった方が曲への理解度が高まり、Blessed-Cursed をより楽しんで聴かれると嬉しいです。
Blessed-Cursed を要約すると、こんな曲 (7分類)
「Blessed-Cursed」の曲を、基本情報・楽曲構成・パート配分・タイトルの意味・歌詞の意味/解釈・MVの有無・ダンス有無の7分類でまとめました。
- 基本情報
韓国語の楽曲。1st スタジオ リパッケージアルバム「DIMENSION: ANSWER」9曲目に収録されている。 - 楽曲構成
サビ部ともとれるCメロから始まり、Aメロ→Bメロ→サビの流れから再びCメロへと繋がる、ループ性の高い構成。音源(YouTube 公式チャンネル) - パート配分
ジェイ > ソンフン・ジョンウォン の順にパート配分が多い。 - タイトルの意味
タイトル「Blessed-Cursed」は、「祝福され、呪われる」という意味。 - 歌詞の意味/解釈
恵まれた環境の中で自分を見失いかけていた「僕」は、光の向こうにいるLiar(=大人)の所有物と化していたことに気付く。現実では誰も正解を知らないが、自分のやり方で歩み続けるという強い意思が込められている。 - MVの有無
あり。MV(YouTube 公式チャンネル) / MV 振付 ver.(YouTube 公式チャンネル) - ダンス有無
あり。練習動画(YouTube 公式チャンネル)
Blessed-Cursed の基本情報
「Blessed-Cursed」は、ENHYPEN の 1st スタジオ リパッケージアルバム[3]「DIMENSION: ANSWER」の9曲目に収録されています。
Blessed-Cursed の楽曲構成・パート分け
「Blessed-Cursed」の楽曲構成とパート分け(歌割り)を図にまとめてみました。
イントロのハードロック[4]を思わせるギターの音色が特徴的な、ヒップホップ・ミュージック[5]がベースにあるハイブリッドなジャンルの楽曲となっています。
構成としてはサビの一部ともいえそうなCメロから始まり、Aメロ→Bメロ→サビの流れから再びCメロへと繋げる、ループ性の高い配置がとられています。
パート分けを見ると、ジェイのパートが一番多いです。
次いで、ソンフンとジョンウォンが同率で多く、他のメンバーは同じくらいの比率になっています。
パート配分 |
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ジェイ > ソンフン・ジョンウォン > ヒスン > ジェイク・ソヌ・ニキ |
Blessed-Cursed のタイトル・歌詞の解釈
著作権の都合上、「Blessed-Cursed」の歌詞全てを書き出して説明することは難しいため、ポイントを絞って自分なりの解釈を綴っておきます。
タイトルの意味は「祝福され、呪われる」
まず、blessed は bless(祝福する、あがめる、賛美する)の過去分詞で「祝福される」という意味です。
cursed は curse(呪う、罵る、災いが下るよう願う)の過去分詞で「呪われる」という意味があり、bless の対義語となっています。
また、– は語と語を繋げて複合語を作る時に使われるため、「祝福され、呪われる」という両方の意味を持つタイトルになるのではないかと想像します。
歌詞の中にも “Tell me, do I get blessed or do I get cursed?”(教えてくれ。僕は祝福されているのか、それとも呪われているのか?)という問いかけで表現されています。
自分が望んで「勝ち取った」K-POP アーティストの立場は、いざ踏み込むと眩く「目がくらむ」世界だったけれど、実際はエンターテインメントの舞台を「走らされ」大人達の所有物でしかなかったと…恵まれた環境が結果的に自分を苦しめていることに気付いたのかもしれません。
デビュー曲から『-』を使って表現されたタイトルは、この「Blessed-Cursed」で完結しています。
自分らしさを失いかけていた僕
꺼진 줄 알았어, 내 맘속 타던 여름이
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
달콤한 입술로 날 길들인 이 Property
몸에 걸친 Luxury, Blue pill 같이 나의 눈 가리네
Tell me, do I get blessed or do I get cursed?
I just want to know
1番Aメロの歌詞を引用させていただきました。
“꺼진 줄 알았어, 내 맘속 타던 여름이”(消えたと思ったんだ、僕の心の中で燃えていた夏が)“달콤한 입술로 날 길들인 이 Property”(甘い唇で僕を飼い慣らした この所有物)という意味です。
“여름”(夏)は「Tamed-Dashed」の記事でも取り上げましたが、青年期を比喩する言葉です。
「消えたと思った」と表現されていることから、かつて想像していた自分の近い将来とは異なる状態であることが想像できます。
Property の語源である proper には「適切な、正式の」という意味があり、これが転じて「財産、不動産、所有権」という意味の名詞になっています。
「甘い」を表す言葉には “달다” もあるようですが、より主観的な「甘く感じる」を表す “달콤한” が使われています。
僕はいつの間にか、言葉巧みな周囲の大人達の「所有物」となっていたことを表しているようです。
メンバーは事務所に所属しアーティスト活動をしているため、雇用上の主従関係があるのは確かですが…大人の言いなりになるのは違うと感じたのかもしれません。
また続く歌詞は “몸에 걸친 Luxury, Blue pill 같이 나의 눈 가리네”(身にまとった高級品、ブルーピルのように僕を盲目にする)という意味です。
ここでの Blue pill は「満ち足りているが、何も知らない状態」を指しています。
1999年に公開されたアメリカの SF[6] アクション映画「マトリックス」で登場したアイテムに由来しています。
そういえば「Let Me In (20 CUBE)」の MV でも既に、赤と青の対比が描かれていましたね!
Don’t wanna miss, 아직 숨 쉬는 나다움이
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
나를 불러, 멀리서 나를 불러 (Let’s go)
2番Bメロ前半の歌詞を引用させていただきました。
“Don’t wanna miss, 아직 숨 쉬는 나다움이”(見逃しはしない、まだ息をする自分らしさが)“나를 불러, 멀리서 나를 불러”(僕を呼ぶ、遠くから僕を呼ぶ)という意味です。
「まだ息をする」と表現されているため、自分らしさを失いかけていた状態ではありますが、完全に失ったわけではないことが分かります。
大人によって手折られた翼
I don’t want, I don’t want
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
영점 짜리 그 정답
이제 난 잊지 않아
날개를 꺾어놓은 그 Lie
2番Aメロの歌詞を引用させていただきました。
“이제 난 잊지 않아”(もう僕は忘れない)“날개를 꺾어놓은 그 Lie”(翼を折った あの嘘)という意味です。
And I walk like a lion, 내 역사를 난 Making
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
また、サビ部分の歌詞を引用させていただきました。
“And I walk like a lion, 내 역사를 난 Making”(ライオンのように歩き、僕の歴史を作っているところだ)という意味です。
ライオンの姿に翼が生えている生物を想像すると、ギリシア神話に登場する『グリフォン』が連想されます。
グリフォンの翼には「盲目を治す」という効果があると信じられており、意図的に折られてしまったのは Blue pill で飼い慣らした『盲目』の状態から自ら回復することを恐れたためでしょうか。(もしくは単純に、空からの脱出を阻むためのものでしょうか)
また、グリフォンは黄金を集め巣をつくり、卵の代わりにメノウ[7]を産むとも考えられていたようです。
グリフォン – Wikipedia
作者 – Jonston, Johannes (1660年) パブリック・ドメイン, リンクによる
欲深い人間が好みそうな能力ですよね…
저 빛 너머의 Liar, 우린 현실로 Fade in
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
이 거짓들 사이, 현생 속으로 다이빙
1番Aメロ最後の歌詞を引用させていただきました。
“저 빛 너머의 Liar, 우린 현실로 Fade in”(あの光の向こうにいる嘘つき、僕たちは現実へ明るみに出す)“이 거짓들 사이, 현생 속으로 다이빙”(あの偽りの狭間、現実の中へダイブ)という意味です。
fade in は映画・演劇・テレビなどで暗い場面が少しずつ明るくなり、最後に全部明るくなる演出方法のことです。
「Intro: Whiteout」でも語られている鋭い『光』は、世の中の常識を暗喩しています。
「あの光の向こうにいる」とされている『嘘つき』は、人間社会を作ってきた大人達を指していると考えます。
『嘘つき』や『偽り』が大人とその行動を表しているとすると、「偽りの狭間」は大人よって築かれた習慣や環境を示していそうです。
翼を折ったのも「あの嘘」と表現されていることから、大人による行為だったということが分かります。
大人達が正しいとする『間違った』世の中へ、自分もいずれ大人になるが目を逸らさずに飛び込んでいくといった意思が感じられます。
自分のやり方で進む、正解のない道
I wanna be wanna be on my way, I bet
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
I wanna be wanna I, way, I bet
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
몰라 정답 따윈, 내 방식대로 가지
(作詞: Alexander Karlsson, Charlotte Wilson, Ciara Muscat, Gabriel Brandes, Hyo Jung Shin, Jacob Aaron, Keun Chull Shin, Moa Anna Carlebecker, Ronnie Icon, Seok Choi, Si Hyuk Bang, Softserveboy, Sqvare, Tae Yun Kim, Tim Tan, Worawat Deeudomchan | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: ANSWER] の「Blessed-Cursed」から引用)
Goes on and on
曲中で3回繰り返されるCメロの歌詞と、サビ部分最後の歌詞を引用させていただきました。
“I wanna be wanna be on my way, I bet”(僕は自分の道を進みたいんだ、そうだよ)、“I wanna be wanna I, way, I bet”(僕は僕でいたいんだ、絶対にね)という意味です。
I bet. は直訳すると「私はそれに賭ける」といった意味になりますが、bet には「断言する」という意味もあり、日常会話のカジュアルな相槌として「その通り、そうだね、そうに違いない」といった意味でも使われるそうです。
また、“몰라 정답 따윈, 내 방식대로 가지”(正解なんて知らない、自分のやり方で進むんだ)“Goes on and on”(延々と続いていく)という意味です。
2番Aメロでも「0程度の正解など要らない」と綴られたように、もはやどうするのが正解なのか誰も答えを持っていないけれど、こうなった以上は自分の判断で自分らしく歩んでいくんだという強い想いが込められています。
「MVの解釈」「ダンスの見どころ」「ステージ映像」は次ページに続きます!
コメント
「Blessed-Cursed」はおそらく、デビュー当初から感じていたであろう想いが乗せられた重要な一曲。活動期間が短くて、メンバーは少し心残りだったでしょうか…😟