ENHYPEN1 の日本語曲「Drunk–Dazed [Japanese Ver.]」について、楽曲構成やタイトル・歌詞の意味/解釈、ダンスの見どころや関連映像など、曲にまつわる様々な情報を整理しまとめておきます。
この記事をご覧になった方が曲への理解度が高まり、日本語の Drunk-Dazed をより楽しんで聴かれると嬉しいです。
日本語の Drunk-Dazed を原曲と比較すると、こんな違いが (7分類)
日本語の「Drunk-Dazed」を、基本情報・楽曲構成・パート配分・タイトルの意味・歌詞の意味/解釈・MV2の有無・ダンス有無の7分類で原曲(韓国語版)と比較しました。
- 基本情報
日本語の楽曲。日本 2nd シングル「DIMENSION: 閃光」2曲目に収録。また、日本 1st アルバム「定め」5曲目にも収録。 - 楽曲構成
韓国盤からの変化なし。
Aメロ→Bメロ→サビの流れにソロやアウトロが配置された、アップテンポで疾走感のある曲。音源(YouTube 公式チャンネル) - パート配分
韓国盤からの変化なし。
ジェイ > ヒスン・ソンフン の順にパート配分が多い。 - タイトルの意味
韓国盤からの変化なし。
タイトル「Drunk-Dazed」は、『酔いしれて、目がくらむ』という意味。 - 歌詞の意味/解釈
- 「規則ない世間」は、身近な環境が秩序を失った状態を指している
- 「いずれ渇いてしまう」のはグラスの中身ではなく『僕』の心のほう
- 「ドア」は『境界線』の役割を果たしている
- 「饗宴」というタイトルの哲学書では『愛』が語られている(繋がりは不明)
- MVの有無
なし。 - ダンス有無
あり。(韓国盤からの変化なし。)
練習動画(YouTube 公式チャンネル)
基本的に、韓国語版から歌詞を日本語訳したものとなっています。
日本語の方で気になった歌詞がありましたので、こちらの記事で綴っています。
日本語の Drunk-Dazed 基本情報
「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」は、ENHYPEN の日本 2nd シングル「DIMENSION: 閃光」の2曲目に収録されています。
また、日本 1st アルバム「定め」の5曲目にも収録されています。
日本語の Drunk-Dazed 楽曲構成・パート分け
日本語の「Drunk-Dazed」について、楽曲構成とパート分け(歌割り)を図にまとめてみました。
原曲(韓国語版)から、楽曲の構成・パート割りの変化は無さそうです。
パート配分 |
---|
ジェイ > ヒスン・ソンフン > ニキ > ジョンウォン > ジェイク・ソヌ |
日本語の Drunk-Dazed 歌詞の解釈
著作権の都合上、「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」の歌詞全てを書き出して説明することは難しいため、ポイントを絞って自分なりの解釈を綴っておきます。
すでに原曲(韓国語版)の方で記事にしていますので、主に日本語歌詞についての内容となります。
「規則ない世間」が示すもの
規則ない世間
(作詞: Wonderkid, LIL 27 CLUB, “hitman” bang, Melanie Joy Fontana, Michel “Lindgren” Schulz | 日本語詞 zopp | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: 閃光] の「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」から引用)
全部ひっくり返ってるんだ
まずは1番Aメロ、ソンフンが担当するパートの歌詞を引用させていただきます。
韓国語歌詞では “규칙 없는 세계는”(ルールのない世界は)となっている部分です。
「ルール」という言葉は主にスポーツで使われることが多く、『正当なやり方』という意味が含まれます。
一方で「規則」という言葉には『一定の秩序』という意味が含まれるため、文脈から「規則」の方が適切であると感じました。
また、「世界」でなく「世間」と訳されている点にも注目しています。
この二つは類語ですが『範囲の広さ』が異なるため、より狭い範囲を示す「世間」であることにも納得です。
これより「規則ない世間」は、僕の置かれた身近な環境が一定の秩序すら失った(または、そのように感じる)状態であることを示しています。
耳馴染みのない表現で少し戸惑いましたが、日本語の意味を正しく理解すると適切な訳であることが良く分かります。
「渇いてしまう」のはいったい何?
次は1番Bメロ、ジェイクとヒスンが担当するパートの歌詞を引用させていただきます。
実は怖い
(作詞: Wonderkid, LIL 27 CLUB, “hitman” bang, Melanie Joy Fontana, Michel “Lindgren” Schulz | 日本語詞 zopp | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: 閃光] の「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」から引用)
グラスん中揺れ酔う世界
いずれ渇いてしまう
But I just wanna stay
韓国語歌詞では “출렁이는 잔속 이 취한 세계”(揺らめくグラスの中 この酔った世界)“그 끝엔 목이 타는 내 맘”(その先には 渇きを覚える僕の心)となっていた部分です。
「Given–Taken [Japanese Ver.]」の日本語訳にもありましたが、「グラスの中」が『グラスん中』と崩した表現になっていますね。
これは歌いやすさを考慮したものかもしれません。
「いずれ渇いてしまう」は対象が省略されていますが、グラスの中身が乾くのではなく、僕の心が渇きを覚える(満たされない)という意味です。(漢字も一般的な「乾く」ではなく、『のどが渇く』方の「渇く」が使われています)
ENHYPEN としては練習生からアーティストへ環境が一変し、芸能界の中で様々な経験をして次第に慣れていきますが、慣れと同時に物足りなさも感じるようになり、さらに貪欲になっていくだろうと感じているのでしょう。
「ドア」には境界線の役割がある
ドアの向こうに手伸ばし
(作詞: Wonderkid, LIL 27 CLUB, “hitman” bang, Melanie Joy Fontana, Michel “Lindgren” Schulz | 日本語詞 zopp | 2022年 ENHYPEN [DIMENSION: 閃光] の「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」から引用)
苦痛が来て 渇きの饗宴
2番Aメロ、ソヌが担当するパートの歌詞を引用させていただきました。
まず韓国語の歌詞では “잠긴 문 너머 손 뻗어 난”(閉じた扉の向こうへ手を伸ばす僕)となっていました。
ドアは初め『閉じられていた』ことが分かります。
続く歌詞は “고통이 날 반겨 갈증의 향연”(苦痛が僕を迎える 渇きの祭典)でした。
ドアを開けてその「向こうに手(を)伸ば」すことは、苦痛を伴うことのようです。
占いにおけるドアは『現在と未来の境界線』の役割を持ち、ドアの手前側がこれまでの自分を、ドアの向こう側が自分の可能性や新たな世界を示すものとされています。
誰がドアを『開けた』のかは不明ですが、おそらく自分で開けたのでしょう。
新たな環境に慣れるまでは思うようにいかず、困難が多いことの比喩だと思われます。
「饗宴」の言葉を深掘りすると…
「饗宴」は酒や料理で客をもてなす宴のことを指しますが、華やかな催し物を指すこともあり「祭典」の言葉に近い使われ方です。
「渇き」は前節で述べたように『満たされない』ことの表現だとすると、「渇きの饗宴」は華やかな舞台(ステージ)でも満足できない状態を指しているのかもしれません。
紀元前から「愛」は議論されていた
また「饗宴」については、古代ギリシアにおける哲学者プラトンによる対話篇3が有名です。
ここまで深掘りする必要はないと思いますが、ポイントだけ整理しておきます。
- 紀元前400年頃のギリシアは『欲望を求める』社会であり、民衆の支持を得るため弁論技術が発達していく
→問題提起として『本質を求める』姿勢で「愛」という普遍的なテーマが書かれた作品 - パイデラスティア(paiderastia)と呼ばれる、成人男性と少年との主従制度があった
- 紀元前416年のアテネ、悲劇詩人のアガトンがコンクールで初優勝し、祝賀会(宴会)を開いた時の話
- 前半は宴会の参加者5名が、論題のエロス4について演説を交わす
- 後半はソクラテスの主導により、エロスについての哲学的な議論が展開される
- アリストファネス(喜劇詩人)の演説で、「太古の人間は、今の人間が2体1組になった球体の生物で、男・女・アンドロギュノス(両性具有)の3つの性があった。人間は神々に挑戦したことで怒りを買い、全知全能の神であるゼウスにより2つに分断された」とし、「自分の半身を求め、完全体への欲求・追求こそエロスと呼ばれるもの」と説いている
男女が惹かれ合う理由、同性愛が存在する理由がもっともらしく説明されています。人間が元々『球体』だったなんて…!凄まじい発想力です!
- ソクラテスの演説では、「愛には『肉体の美(物質的な美しさ)→精神の美(習慣や心掛け)→知識の美(学問的な認識)→美そのもの(美の本質)』という段階がある」と説いている
この思想が「プラトニック・ラブ(Platonic love)」という言葉の起源だそうです。ここでは根底に『肉体の美』が挙げられているため、純粋な「精神的恋愛」とは異なるようでした。
歌詞の「饗宴」がこの対話篇を指すものではないとしても、少年愛をベースに語られるエロスの議題は、青少年期からその美貌が商品価値となっているアイドルに通じるものがあるのでは…と感じました。
日本の大手芸能事務所での不祥事が、記憶に新しいところです。芸能界の闇は一般人に計り知れませんが、ENHYPEN メンバーの「苦痛」になっていないことを願うばかりです。
日本語の Drunk-Dazed に MV はありませんでした…が、
調べてみましたが、残念ながら日本語の「Drunk-Dazed」には MV が見当たりませんでした。
「DIMENSION: 閃光」のタイトル曲5は「Tamed–Dushed [Japanese Ver.]」であり、日本語の「Drunk-Dazed」は収録曲としてプロモーション用の映像はなさそうです。
韓国語版の記事で紹介を失念していましたので、ダンスパフォーマンス動画として「Summer Edition ‘Destroyed World‘」と題して用意されていた動画のリンクを貼っておきます。
Drunk-Dazed ダンスパフォーマンス動画(夏版「滅びた世界」)
🗓2021年7月10日ENHYPEN Official YouTube
ENHYPEN は日本デビューが2021年7月6日でしたので、その4日後に公開されたことになります。
日本語の「Given-Taken」MV も廃墟をイメージさせる演出があったことから、この動画も世界観として繋がりがあるように見えました。
撮影現場の様子が [EN-TER key] のコンテンツとして残っていますので、併せてリンクを貼っておきます。
[EN-TER key] 7人の生存者はどのように身を守るのか?
🗓2021年7月11日ENHYPEN Official YouTube
撮影の合間に小道具(武器)で遊んでいるところなど、年齢相応な姿にほっこり癒されました☺
日本語の Drunk-Dazed ダンス見どころ
K-POP の楽曲には、歌と同じくらいダンスでの表現も欠かせませんよね。
日本語の「Drunk-Dazed」は、韓国語 Ver. からダンスの振り付けに変化は無さそうです。
韓国語版で用意されていたダンス練習動画ですが、参考までにリンクを貼っておきます。
日本語の Drunk-Dazed ステージ映像はありませんでした…が、
音楽番組などで披露された日本語の「Drunk-Dazed」ステージ映像や関連映像について、何か残っているものはないか確認してみましたが…公式な動画は残されていませんでした。
…が実は、2022年の年末から2023年の年明けにかけて放送された「CDTV LIVE! LIVE! 年越しスペシャル 2022→2023」で、26時台(2023年1月1日 2時~)に録画放送されています。
撮影時の舞台裏が [EPISODE] 動画として ENHYPEN の YouTube 公式チャンネルにて公開されていますので、参考までにリンクを貼っておきます。
[EPISODE] 2022 CDTV LIVE! LIVE! 舞台裏
🗓2023年2月20日ENHYPEN Official YouTube
動画の中でジョンウォンがコメントしていますが、日本語の「Drunk-Dazed」を披露するのは初めてだったようです。(単独コンサートではなく『音楽番組で』初めてという意味だと思われます)
私も眠気と闘いながらオンエアを待っていました。ENHYPEN のステージ披露の後に、向かいのステージで &TEAM6 が続けて「Under the skin」を披露しており、その構成に胸が熱くなったのを覚えています!
衣装は動画でも確認できる通り、上下とも黒の軍服風のものでした。
ジェイが動画中で話してくれていますが、乗馬ブーツも履き上品なスタイリングとなっています。(あぁ…この姿でのパフォーマンスが動画で残っていないなんて🥲)
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
ENGENE7 予備軍の方は、ENHYPEN の日本語曲「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」について多少なりともご理解いただけましたでしょうか?
また先輩 ENGENE の方は、私の整理した「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」の関連情報について間違いありましたら、ご指摘いただけると助かります。
☀ Special Thanks ⚡
アイキャッチ画像:daves19387 様
「MV はありませんでした…が、」のイメージ画像:Mudassar Iqbal 様
埋め込み動画のサムネイル画像:Jan Alexander 様・Gerd Altmann 様
@ Pixabay
コメント
「Drunk-Dazed [Japanese Ver.]」では、歌詞の『饗宴』の二文字が気になり、だいぶ深掘りしてみました。後の楽曲を理解する上で必要になりそうだなぁと思って、ここであえて綴っています。